ほんものの名酒とは 10
また純米酒が普及しはじめた頃は、「一級にうまい酒がありますね」と酒のわかる飲み屋のおかみさんが言いだしました。
これは純米酒はまだよく知られていなかったので、蔵元のほうでもせっかくいい純米酒を出荷しても売れないのを懸念して、税金面も安く抑えられるので一級規格にとどめました。
またアルコール添加量を控え目にして糖類を添加しない本醸造酒も、おなじ理由で一級酒のものが多くなったのです。
かくて「一級にうまい酒が多い」という現象が目立つようになったのです。
しかし、その後すばらしい吟醸酒や古酒で、もし純粋に品質を酒類の格づけの規準とするなら、これこそ特級、超特級の酒なのに、税金対策のため、わざと一級や特級の格づけ審査にださない「無鑑査」の高価格二級酒が、デパートの酒売揚などに並ぶに到ったのです。
こうなると二級とはいっても「酒は地酒の二級にかぎる」と酒通が礼賛したのとはニュアンスがちがってきます。
級別撤廃論や、特・一・二級の区別はナンセンスだという論もこの辺から出てきました。
とにかく、こうした実状をふまえて、酒を品質と味で区分けしようとするなら、どうしてもジャンル分けして、特定の酒がそれぞれのジャンルにおいていかにすぐれているかを見極めるのでないと、明確にならぬのです。