ほんものの名酒とは 6
山梨県南巨摩郡増穂町の『富水』(秋山酒造店)で最初に実用化された『泡なし酵母』というものもあります。
この『富水』の酒造揚は秋山裕叫前醸造試験所長の実家で、通常の清酒酵母だと鯵(もろみ)発酵中に「高泡」と呼ぶ泡が立ってたえず泡を消去しないとタンクから溢れますが、こういう泡が立たず、泡を消去する作業も要らない便利な酵母が、「泡無し酵母」なのです。
しかもでき上がった酒は吟醸タイプの香りや風味を見事にたたえています。
このような酵母の選択や、翫づくりの方法、さらには、仕込みの温度、蔵や自然条件への配慮などを含めた、杜氏や技術者の才幹と努力、さらには蔵元を含めた人間性の結晶・・・
こうしたものの実りであることが、まず名酒といわれるものの基本条件と言えるでしょう。
原料米も選び、その精白度を高め、水も選び、よき杜氏を得てつくる酒に、駄酒があろうはずはありません。
しかし、それでも名酒といわれるほどの美味をたたえるかどうかは、さまざまな要素の組み合わせ、バランスなど、最終的には微妙な偶然性にも支配されるのです。
名酒はこのようにして、まず基本条件から平板な量産酒とはちがっていることを明記しておきます。