ほんものの名酒とは 2
次に、手造り規定によれば「生翫または速醸翫」と表現された翫づくりの問題があります。
翫(もと)というのは古くからの用語で、素人にはわかりにくいものですが、現在では「酒母」ということが多いようです。
酒蔵を訪ねると「酒母室」と呼んでいるところにホーロータンクに入れた翫があります。
この翫=酒母は、蒸米+麹+仕込水+翫(酒母)→膠(もろみ)という酒づくりの過程で、出来上る酒の性格、品質を方向づけるもう1つのポイントになるのです。
これが一鞠、二翫といわれるゆえんです。
その方法は大別して、生翫系と速醸系の2つがあります。
生翫のほうは、日本に古くからあった本来の手造りの手法で、まず、冷やした蒸米に麹と水をまぜ、半切と称するたらいのような桶に入れて、手でよくかきまぜます。
2、3時間ごとに木片でくり返してまぜ、15~20時間経って仕込み水を蒸米と麹が吸いこんだあと、半切桶ひとつに3人の蔵人が擢(棒状の先にすり板のついたもの)でよくすりつぶします。
これを山卸しといいます。
これも3時間ごとに3回くりかえし、すりつぶしたものを酒母タンクに集めます。
その後、のちにいう純粋培養酵母(協会6号とか7号など呼ばれる)を加えます。
タンクの中では乳酸菌が繁殖しており、酵母はその中で増殖して、膠を酒とし熟成させる力を蓄えるのです。