ほんものの名酒とは
名酒を造る上で何よりも問題になるのは、麹づくりの過程です。
酒づくりの秘訣に「1麹」とあるぐらいで、麹室といえば杜氏や蔵人たちが汗を流して麹ダネをまぶし込み、その発酵のぐあいをみるのに、徹夜で室に着のみ着のまま泊りこんだものなのです。
こういう労苦を軽減するために、業界にはなかなか工夫に富んだ麹づくりの機械も普及しました。
もともとが善意の機械で、この機械づくりの麹で仕込んだ酒には良品・佳酒が少なくありません。
しかし、名酒といわれるほどのすぐれた酒は、やはりこういう機械の規格を越えた手造りによって生まれます。
名酒を生んだ蔵元に麹室をみせてもらうと、90%以上が麹蓋を、あとの若干が箱麹使用です。
機械麹だと微妙な可能性の芽がつまれる気味合いがあるといいます。
そこで、麹機械のほうでもさらに微妙な調節のできる考案が進められているようですが、それほど頭脳をしぼるなら、微妙な杜氏の技術とカンの生かせる麹蓋使用の手造りに徹したほうがいいように思われます。
80点から90点の酒は機械でできても、90点以上の酒を生むのは手造りなのです。